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SEO内製化の進め方 外注をゼロにせず判断だけ社内に残す段階設計

この記事でわかること
  • 内製化が途中で止まる典型的な原因
  • 社内に残す判断と外注に残す実行の線引き方
  • 外注を残したまま判断だけ社内に移す3段階の進め方
  • 内製化が止まったときの立て直し方

SEO内製化で最初につまずくポイント

内製化が止まる3つの原因
内製化が止まる3つの原因

「外注をやめて社内でSEOを回したい」という相談を受けると、最初に確認するのは記事の書き方でも分析ツールの使い方でもなく、内製化の範囲がどこまで決まっているかである。ほとんどの場合、範囲は決まっていない。「外注費を減らしたい」「社内にノウハウを残したい」という動機は明確でも、それを実現するために社内と外注のどちらが何を担うのかという設計図がないまま話が進んでいることが多い。

外注を切って社内に切り替える、という発想そのものが失敗の起点になりやすい。外注していた業務のうち、どこまでを社内に残し、どこから先を委託し続けるかを決めないまま「とりあえず内製化を始める」と、担当者は記事執筆・構成設計・計測・改善判断のすべてを一人で背負うことになり、数ヶ月で更新が止まる。実際に立て直しの相談を受ける現場では、内製化の宣言から半年ほどで更新頻度が月1本以下まで落ち込んでいるケースが少なくない。

Search Central(Google公式のSEOガイド)でも、継続的な運用と改善のサイクルが検索結果での評価に影響することが繰り返し説明されている(https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/seo-starter-guide)。内製化の失敗は多くの場合、技術力の不足ではなく、この継続の仕組みを設計しないまま走り出すことに起因する。担当者個人のスキルを高める前に、体制として何が続けられる形になっているかを見直す必要がある。

曖昧なまま始まる内製化の定義

「内製化」という言葉が指す範囲は会社によって違う。記事執筆だけを内製化したい会社もあれば、キーワード選定から効果測定まですべてを社内に移したい会社もある。この定義を最初にすり合わせないまま進めると、外注先との役割分担が曖昧になり、どちらも本気で手を動かさない期間が発生する。外注先は「そろそろ社内に移管される」と考えて提案の質を落とし、社内の担当者は「まだ外注が主導している」と考えて手を出さない、という空白期間が生まれやすい。

この空白を避けるには、内製化の対象を業務単位で書き出し、いつまでにどこを社内に移すかを外注先と共有しておくことが有効である。曖昧なまま進めるより、範囲を狭くしてでも明確にしたほうが結果的に早く進む。

専任者不在のまま進む体制

SEOは他の業務と兼務しながら片手間で回せるものではない。担当を明確にしないまま「みんなで少しずつ」という体制にすると、優先順位は他の業務に押し流され、内製化計画は着手された事実だけが残って形骸化する。マーケティング担当が広告運用やSNS対応と兼務でSEOを担うケースでは、成果が見えるまでに時間がかかるSEOの優先順位は下がりがちである。

専任者を1人も置けない会社であっても、少なくとも「最終的な判断を誰がするか」だけは明確にしておくべきである。実行の時間が取れなくても、判断の責任者が曖昧でなければ内製化の歩みは止まりにくい。

何を社内に残し、何を外注に残すかの線引き

社内に残すものと外注に残すもの
社内に残すものと外注に残すもの

内製化を「外注をゼロにすること」だと捉えると、判断を誤りやすい。実際に社内に残すべきなのは実行作業そのものではなく、優先順位を決める判断と、成果をどう評価するかという基準である。ここを先に固めてから、実行のどこを内製化するかを段階的に決めていく。

判断を社内に残す理由

自社のサービス内容、顧客の検討軸、季節性や商流の癖は、外部の担当者よりも社内の人間のほうが理解している。この理解をもとにした優先順位判断は、外部に委託し続けると精度が落ちやすい。逆に、記事の執筆や技術的な実装作業は、判断基準さえ社内にあれば外部に委託しても品質を保ちやすい。判断を握ることと実行を握ることは、必ずしも同時に社内へ移す必要がない。

たとえば、繁忙期前に需要が高まるキーワードや、既存顧客からよく受ける質問といった情報は、営業やカスタマーサポートに近い社内の人間のほうが精度高く把握できる。この情報を外注先に正確に伝え続けるコストを考えると、判断だけでも社内に置く価値は大きい。

実行を急いで巻き取らない理由

判断基準が固まっていない段階で執筆や実装まで一気に内製化すると、担当者は自分の判断に自信を持てないまま作業だけをこなすことになる。結果として、外部委託時よりも記事の質が下がったり、更新頻度が落ちたりするケースが少なくない。実行を移すのは、判断基準が社内で回るようになった後でよい。

焦って実行まで巻き取ると、外注先が持っていた執筆のノウハウや構成設計の型を失ったまま自己流で進めることになり、品質のばらつきが大きくなる。急ぐべきは実行の内製化ではなく、判断の内製化である。

段階1 優先順位の判断だけを社内に移す進め方

判断を社内に移す3段階
判断を社内に移す3段階

内製化の初手は、外注先との契約を変えることではなく、月次の企画会議に社内の担当者が判断者として入ることである。どのキーワードを優先するか、どの記事をリライトするかを、外注先の提案をそのまま採用するのではなく、社内で一度検討してから決める。

企画会議における社内の主導権

外注先が持ってきた提案に対して、なぜその優先順位なのかを確認し、自社の事業計画やシーズンごとの需要と照らし合わせて採否を決める。この段階では執筆や構成作成は従来どおり外注に任せてよい。判断の練習を積むことが目的である。

最初のうちは外注先の提案をそのまま承認するだけになりがちだが、毎回1つでも質問を投げ、なぜその記事を優先するのかを言葉で説明してもらう習慣をつけると、数ヶ月で社内の判断の質が変わってくる。

判断の記録の必要性

なぜその記事を優先したのか、なぜあるテーマを見送ったのかを簡単にでも記録しておく。この記録が、後の段階で担当者が交代したときや、判断基準を言語化する際の材料になる。記録がないまま人が入れ替わると、内製化した意味がその場で失われる。

議事録やスプレッドシートに数行残すだけでよい。形式を整えることより、判断の理由を残すことを優先したほうが、後から見返したときの価値が高い。

段階2 小さな運用による自社データの蓄積

自社データを蓄積する順番
自社データを蓄積する順番

判断の練習に慣れてきたら、記事のうち一部だけを社内で執筆してみる。すべてを切り替えるのではなく、比較的書きやすいテーマから数本を選び、外注と並走させる形で試す。並走期間を設けることで、社内執筆の品質を外注の記事と比較しながら確認できる。

検索順位と流入の推移の自社把握

Google Search Consoleのデータを外注任せにせず、社内でも定期的に確認する習慣をつくる。数値の見方に慣れることで、外注からの報告内容を鵜呑みにせず、自社の言葉で状況を説明できるようになる。月に1回、順位と流入の推移を10分でも眺める時間を確保するだけで、データへの解像度は着実に上がっていく。

リライトの判断基準の言語化

どのくらい順位が落ちたらリライト対象にするか、どの指標を優先して見るかという基準を、感覚ではなく文章として残す。この基準ができて初めて、執筆以外の判断も社内で完結できるようになる。基準がないまま感覚でリライトを続けると、担当者が変わるたびに判断の軸がぶれてしまう。

段階3 実行支援への外注の役割の絞り直し

外注の役割を絞り直す3つの形
外注の役割を絞り直す3つの形

判断基準が社内で回るようになったら、外注との契約内容を見直す。ここでのゴールは外注をゼロにすることではなく、外注の役割を「企画から任せる相手」から「特定の作業を任せる相手」に変えることである。この段階に入ると、外注費は減るが、外注先との関係が切れるわけではない点を意識しておく必要がある。

執筆支援への切り替え

構成案とキーワード選定は社内で行い、執筆のみを外部のライターに依頼する形に変える。判断の主導権は社内にあるため、外注先が変わっても記事の方向性がぶれにくくなる。執筆者を柔軟に増減できるため、繁忙期だけ外部の手を借りるといった調整もしやすくなる。

技術支援への切り替え

構造化データの実装やサイト速度の改善など、専門的な技術対応だけを外部に依頼する形にする。日常的な記事の企画・執筆・改善は社内で完結させ、技術面のスポット対応だけを切り出す。技術対応は頻度が高くないため、月額契約ではなくスポット契約に切り替えられる場合も多い。

内製化が途中で止まる典型パターンと立て直し方

内製化が途中で止まる典型パターン
内製化が途中で止まる典型パターン

段階を踏んで内製化を進めても、担当者の異動や業務量の増加によって運用が止まることがある。止まった内製化は、ゼロから作り直すのではなく、どの段階まで進んでいたかを確認したうえで立て直すほうが早い。

引き継がれない判断基準による迷走

前任者が言語化していた優先順位の基準が引き継がれないまま新しい担当者が着任すると、また一から手探りで判断することになる。段階1で記録した判断の履歴を確認し、何を基準にしていたかを最初に洗い出すことが、立て直しの第一歩になる。記録が残っていない場合は、既存記事の傾向から基準を逆算して言語化し直す作業から始める。

更新停止状態の放置リスク

数ヶ月更新が止まった状態を放置すると、既存記事の情報が古くなり、検索結果での評価が下がっていく可能性がある。立て直す際は、新規記事を書き始める前に、既存記事のうち順位が落ちているものから優先的に確認したほうが効果につながりやすい。止まっていた期間が長いほど、新規記事より既存記事の立て直しを優先したほうが早く成果が戻ることが多い。

よくある質問

内製化にはどのくらいの期間がかかりますか

判断を社内に移す段階から実行支援への切り替えまで、早くても半年、業種や体制によっては1年以上かかることが多い。急いで実行まで一気に巻き取ろうとすると、かえって更新が止まる原因になる。段階ごとに数ヶ月単位で様子を見ながら進めるほうが、結果的に定着しやすい。

専任者を1人しか置けない場合はどうすればよいですか

専任者が1人しかいない場合は、実行のすべてを内製化しようとせず、判断部分だけを社内に残し、執筆や技術対応は外注に任せ続ける形が現実的である。段階1と段階2を厚くして、段階3は無理に進めなくてよい。人員が増えたタイミングで改めて実行支援への切り替えを検討すればよい。

外注先を変えずに内製化は進められますか

進められる。内製化は外注先を切る作業ではなく、社内と外注の役割分担を見直す作業である。既存の外注先に、企画会議への同席や判断基準のすり合わせから協力してもらうほうが、ゼロから新しい外注先を探すよりも移行がスムーズになることが多い。長く付き合ってきた外注先であれば、自社の事情も理解しているため、段階的な移行への協力を得やすい。

まとめ

  • 内製化の失敗は技術力ではなく、範囲を決めないまま始めることが原因になりやすい
  • 社内に残すべきは実行作業ではなく、優先順位の判断と評価基準
  • 段階1は外注を残したまま判断だけを社内会議に移す
  • 段階2は一部の記事を社内執筆に切り替え、自社データを蓄積する
  • 段階3で外注の役割を実行支援に絞り直し、判断の主導権を社内に定着させる
  • 内製化が止まったときは、既存記事の立て直しから着手したほうが早く戻る

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