- 支援範囲別・料金体系別の費用相場の帯
- 見積書を稼働時間と納品物に分解して比べる方法
- いま払っている外注費が妥当かを判定する4ステップ
- Googleが公式に示す業者選定の確認事項と注意点
- 予算帯ごとの現実的な支援範囲の絞り方
SEOコンサルティングの見積もりを何社か取ると、支援内容の説明はどれも似ているのに、月額8万円の会社と月額60万円の会社が並ぶ。判断材料がないまま金額の低いほうを選び、半年たっても順位が動かず契約を終える。同じことを依頼先を変えて繰り返している会社は珍しくない。
費用相場を調べても発注判断が進まないのは、相場表が金額の幅しか示していないからだ。月額10万〜50万円という帯そのものは実態に近い。ただし自社がその帯のどこに入るべきかは、サイトの規模や業界ではなく、毎月どの作業に何時間使われるかで決まる。金額だけを横に並べても、その情報は出てこない。
この記事では、支援範囲ごとの相場と料金体系の違いを整理したうえで、見積書と月次レポートから、いま払っている金額が妥当かどうかを逆算する手順までを書く。これから発注する場合だけでなく、すでに外注していて成果が見えない状態からの立て直しを想定している。
結論を先に書く。比べるべきは金額の高低ではなく、その金額で誰が何時間動き、毎月何が納品されるかである。稼働時間と納品物に分解できない見積もりは、高くても安くても判断材料にならない。
SEOコンサルティングの費用相場と、金額の幅が生まれる理由

まず相場そのものを押さえる。ここで重要なのは金額の中央値ではなく、なぜ同じ「SEOコンサルティング」という名前で10倍近い開きが出るのかという点である。
支援範囲別の費用相場
公開されている費用相場の情報を支援範囲別に整理すると、おおよそ次の帯に収まる。
| 支援範囲 | 月額の目安 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 総合的なSEOコンサルティング | 10万〜100万円 | 戦略設計・技術改善・コンテンツ・効果測定の全般 |
| コンテンツSEO | 5万〜50万円 | キーワード設計、記事の企画と品質管理 |
| 内部SEO対策 | 10万〜30万円 | サイト構造、内部リンク、クロールとインデックスの改善 |
| 外部SEO対策 | 1万〜15万円 | 被リンクの調査と獲得施策 |
| 記事制作の実作業 | 1本3,000円〜5万円 | 執筆単価。文字数と専門性で変動 |
この帯はレバテックが公開している費用相場(https://levtech.jp/partner/guide/article/detail/448/ )およびデジタルアイデンティティの相場解説(https://digitalidentity.co.jp/blog/seo/seo-cost.html )に記載された金額を並べたもので、複数の情報源でおおむね近い水準が示されている。自社の見積もりがこの帯から大きく外れている場合は、範囲の定義がずれている可能性を先に疑うとよい。
金額の幅を生む3つの変数
同じ支援範囲でも金額が動く要因は、実務上ほぼ次の3つに集約される。
- 対象サイトの規模。ページ数が数十のサイトと数万のサイトでは、技術的な調査にかかる時間が桁で変わる
- 支援範囲に実作業が含まれるか。助言だけなのか、記事の執筆やタグの実装まで請けるのかで工数が大きく違う
- 誰が稼働するか。責任者が毎月入るのか、担当者が定型のレポートを出すだけなのかで人件費が変わる
3つのうち、見積書で最も曖昧に書かれやすいのが3つ目である。「専任担当がつきます」という一文だけでは、その担当が月に何時間使うのかが分からない。
相場表だけでは発注判断ができない理由
相場表は、提示された金額が極端に外れていないかを確かめるには使える。一方で、自社に必要な支援がどれかを教えてはくれない。
たとえば流入が伸びない原因が技術的なインデックスの問題にある場合、コンテンツSEOに月額30万円を払っても状況は変わらない。相場の中に収まっている金額であっても、課題と支援範囲が噛み合っていなければ支出は成果につながらない。
注意したいこと
費用を検討する前に、自社の課題が「作るものが足りない」のか「作ったものが評価されていない」のかを切り分けておく。ここが決まっていないと、どの支援範囲を買うべきかが決められない。
料金体系ごとの費用構造と向き不向き

費用の見え方は料金体系によって変わる。総額が同じでも、リスクの置き場所と契約の切りやすさが違う。
月額固定型
毎月一定額を払い、決められた範囲の支援を継続して受ける形式で、SEOコンサルティングでは最も多い。月額10万〜50万円が中心帯になる。
利点は、施策の内容を成果指標に縛られず決められることにある。順位が動きにくい初期に技術改善へ工数を寄せる、といった判断がしやすい。一方で、成果が出ていない月も同額が発生するため、稼働内容の可視化が甘いと支払いの根拠を失う。
成果報酬型
指定キーワードが特定の順位に入った日数などに応じて費用が発生する形式である。成果が出なければ支払いが小さく抑えられる点が支持されている。
注意すべきは、対象キーワードの選び方によって難易度が大きく変わることだ。もともと上位表示しやすい語が対象に含まれていると、事業への影響が小さいまま費用だけが発生する。契約時に、対象キーワードが売上につながる語かどうかを自社で確認しておく必要がある。
スポット型と単発診断
サイト診断やキーワード設計だけを単発で依頼する形式で、10万〜50万円程度のプロジェクト単位になることが多い。
継続支援を受けられる体制が社内にある場合や、いまの外注先の提案が妥当か第三者の目で見たい場合に向く。逆に、実装まで社内で回せない状態でスポット診断だけを買うと、報告書が読まれずに終わる。
記事制作の単価型
コンテンツの本数だけを外注する形式である。1本あたり3,000円から5万円程度と幅が広く、この差は文字数よりも、企画と一次情報の取材が含まれるかどうかで生まれる。
単価だけで比較すると、キーワード設計が含まれない見積もりを選んでしまいやすい。設計を社内で持てるかどうかを先に決めてから単価を比べる。
金額ではなく、見積もりの中身で比べる

ここからが本題になる。金額の妥当性は、見積書を工数と納品物に分解して初めて判断できる。
見積書で確認する5項目
提案を受け取ったら、次の5つが書かれているかを確認する。書かれていなければ、その場で質問して議事録に残す。
- 毎月の稼働時間、または投入する人数と稼働割合
- 毎月の納品物(レポート、施策の指示書、記事、実装物)とその本数
- 実装の担当。指示までなのか、CMSやコードへの反映まで含むのか
- 定例会の頻度と、参加するメンバーの役割
- 契約期間と、途中解約の条件
月額を稼働時間で割って時間単価を出す
月額30万円という金額そのものには高いも安いもない。稼働が月20時間なら時間単価1万5,000円、月5時間なら6万円になる。
この計算をすると、比較の軸が金額から中身に移る。月額15万円で稼働10時間の会社と、月額30万円で稼働30時間の会社を並べたとき、後者のほうが時間単価は低い。安く見えた提案が、実は時間単価では割高だったというケースは実際に起きる。
ここがポイント
稼働時間を明示しない会社に対しては、「月にどれくらいのお時間を想定されていますか」と聞くだけでよい。答えられる会社は工数を管理していて、答えに詰まる会社は管理していない。この一問で分かることは多い。
誰が手を動かすのかを確認する
提案の場に出てくる責任者が、契約後も毎月入るとは限らない。提案時のメンバーと実行時のメンバーが違うこと自体は普通のことなので、批判する話ではない。確認すべきは、責任者が入る頻度と、担当者が単独で判断できる範囲である。
技術的な改善が必要なサイトでは、開発チームと会話できる担当がつくかどうかで進み方が変わる。この点は契約前に聞いておく。
支払っている費用が妥当かを判定する手順

すでに契約している場合、判断材料は提案書ではなく実績である。直近6ヶ月の月次レポートと請求書があれば、次の順で棚卸しできる。
直近6ヶ月のレポートから施策の実装率を数える
レポートに書かれた提案のうち、実際にサイトへ反映されたものが何割あるかを数える。ここが低い場合、問題は費用の額ではなく実装体制にある。
実装率が3割を下回っているなら、支援会社を変えても状況は変わりにくい。提案を受け取る側の処理能力が上限になっているからで、この場合は実装まで含む契約に切り替えるか、社内の実装担当を決めるかのどちらかが必要になる。
順位と流入以外に見る指標
順位と流入だけを追うと、動きが出ない期間に判断がつかなくなる。あわせて次を見る。
- インデックス済みページ数の推移。技術的な詰まりが解けたかどうかが表れる
- 対象キーワードのうち、10位圏内に入った語の数。1位でなくても改善の方向は分かる
- 問い合わせや資料請求など、事業側の指標との対応
Googleの公式ドキュメントでも、変更が検索結果に反映されるまでには数時間から数か月かかり、数週間待ってから確認することが推奨されている(https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/seo-starter-guide?hl=ja )。1ヶ月単位の順位変動だけで良否を決めない。
費用対効果を粗く見積もる計算
厳密な計算は難しいが、判断のためには粗い試算で足りる。対象キーワード群の流入が想定どおり伸びた場合の問い合わせ件数を、現在のサイト全体の問い合わせ率で置いてみる。そこに自社の受注率と平均単価を掛ければ、年間でどれだけの売上機会になるかの目安が出る。
その金額と年間の外注費を並べたとき、桁が合わないなら、費用の問題ではなく対象キーワードの選定に問題がある。
見直しか継続かの分岐
棚卸しの結果は、おおむね次のどれかになる。
| 状態 | 判断 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 実装率が低い | 体制の問題 | 実装まで含む契約に変えるか、社内担当を決める |
| 実装は進むが指標が動かない | 設計の問題 | キーワードと対象ページの再設計を依頼する |
| 指標は動くが事業に効かない | 対象の問題 | 売上につながる語へ対象を組み替える |
| 稼働内容が説明されない | 情報の問題 | 稼働時間と納品物の開示を求める |
いずれの場合も、契約を切ることが最初の選択肢になるとは限らない。稼働の中身を開示してもらうだけで論点が整理され、同じ会社との進め方が変わることもある。
契約前に確認する質問と、避けたほうがよい提案

発注先の見極めについては、Googleが公式に基準を示している。第三者の意見ではなく検索エンジン側の文書なので、社内稟議の根拠としても使いやすい。
Googleが挙げている確認事項
Googleのドキュメントでは、SEO業者の選定時に、過去の作業サンプルと成功事例を示せるか、Google検索の基本事項に準拠しているか、期待される結果の時期と測定方法、対象業界や地域での実績、行う変更の説明があるかを質問するよう挙げている(https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/do-i-need-seo?hl=ja )。
このうち実務で差が出やすいのは、結果の時期と測定方法である。ここを言語化できる会社は、社内での期待値調整も一緒に引き受けてくれる。
順位保証という表現の扱い
同じドキュメントでは、掲載順位を保証すると主張する業者や、Googleとの特別な関係を強調する業者には注意が必要だと明記されている。検索結果の最初のページに必ず表示されるようになるという説明があった場合は、別の業者を探すことが推奨されている。
これは特定の会社の是非ではなく、順位が第三者に確約できる性質のものではないという構造の話である。成果の約束は順位ではなく、稼働と納品物で示されるべきものと考えるとよい。
契約期間と解約条件の確認
SEOは効果が出るまでに時間がかかるため、半年から1年の最低契約期間が設定されていることが多い。期間そのものは合理的だが、確認すべき点が2つある。
- 期間中に成果が見えない場合、支援内容を見直す機会が設計されているか
- 解約時に、これまでの調査データや設計資料が引き継げるか
2つ目は見落とされやすい。キーワード設計や技術調査の成果物が受け取れないと、次の会社で同じ調査費を払い直すことになる。
予算帯別の現実的な進め方

最後に、予算が先に決まっている場合の考え方を整理する。予算に合わせて支援範囲を削るのではなく、範囲を絞って深さを保つほうが結果につながりやすい。
月額10万円未満でできること
この帯で総合的な支援を求めると、稼働時間が薄く広がって何も進まない。範囲を1つに絞る。
現実的なのは、キーワード設計と記事の品質チェックだけを外部に置き、執筆と実装を社内で持つ形である。あるいは単発の診断を受けて、実行を社内で回す。
月額10万〜30万円の標準的な体制
多くの中小規模サイトがこの帯に入る。月次の定例、施策の指示書、優先順位の管理までを外部が持ち、実装と執筆は分担するのが標準的な形になる。
この帯で成果が出ない場合、金額を上げる前に、指示書がサイトに反映されているかを確認する。前章の実装率の話がそのまま当てはまる。
月額30万円以上で変わること
実作業の比重が上がる。記事制作の本数、技術改善の実装、大規模サイトの構造設計まで含められるようになる。
金額を上げる判断が必要なのは、社内の実装リソースが足りていないと分かったときである。設計だけを厚くしても、手が動かなければ結果は変わらない。
予算が取れないときの縮小運用
予算が確保できない時期に、更新を完全に止める判断をしてしまうと、再開時の立ち上がりが重くなる。既存記事の情報更新と内部リンクの整理だけでも続けておくほうが、後の再開が楽になる。
ここがポイント
止めるときは全部を止めず、更新頻度を落としてでも継続する部分を決めておく。再開の判断がしやすくなり、社内での説明も通りやすい。
よくある質問
相場より安い見積もりは避けるべきですか
金額の低さ自体が問題なのではなく、その金額に対応する稼働時間と納品物が示されているかが判断点になる。範囲を絞った提案であれば、低い金額でも成立する。範囲が広いのに金額が低い場合は、稼働時間の想定を確認する。
成果報酬型のほうが安全ですか
支払いのリスクは抑えられるが、対象キーワードの選定次第で費用と事業成果がずれる。契約前に、対象語が実際に問い合わせにつながる検索意図を持つかを自社で確認しておく。
何ヶ月で効果を判断すればよいですか
Googleは変更の反映に数時間から数か月かかるとしており、数週間待ってから確認することを推奨している。実務では、3ヶ月で施策の実装状況とインデックスの改善、6ヶ月で順位と流入の傾向、という2段階で見る形が扱いやすい。
途中で依頼先を変えると振り出しに戻りますか
キーワード設計、技術調査の結果、施策の履歴が引き継げれば、振り出しには戻らない。逆に言えば、解約時に資料が受け取れるかどうかが、切り替えのコストを決める。契約前に確認しておく項目である。
まとめ
SEOコンサルの費用を判断するために押さえる点を整理する。
- 支援範囲別の相場は、総合コンサルで月額10万〜100万円、コンテンツSEOで5万〜50万円、内部施策で10万〜30万円が目安になる
- 同じ金額でも中身が違う。月額を稼働時間で割って時間単価を出すと比較の軸が揃う
- すでに契約している場合は、直近6ヶ月のレポートから施策の実装率を数えることから始める
- 実装率が低いなら、依頼先を変えるより先に実装体制を決める必要がある
- 順位保証をうたう提案には注意する。Googleの公式ドキュメントが明確に指摘している
- 予算が限られるときは範囲を絞る。広く薄く配分すると何も進まない
費用の議論は、金額を下げる話にも上げる話にもなり得る。判断の起点になるのは、いま毎月どの作業に工数が使われていて、そのうちどれがサイトに反映されているかという事実である。ここが見えていれば、続けるにしても切り替えるにしても、社内で説明できる根拠を持って決められる。
